「STONEWALL」 のウォッチストラップは明らかに他とは異なります。
その最大の理由は長期使用を前提とし、古典的な技法と素材を追求してきたことに他なりません。この項では 「STONEWALL」 最大の特徴である裁断面の仕立てについて解説します。
世の中に流通する 99% 以上の革製品は、裁断面の仕立てに合成樹脂を主成分とした薬剤が塗布されています。
無論、ウォッチストラップも例外ではありません。
むしろ多くの場合、ウォッチストラップには美しさや高級感を求められることからその確率はさらに高いでしょう。
生産者にとっては極めて好都合な薬剤で、発色が良く、艶が得られ、高い技術は不要、手間を掛けることなく滑らかに仕上がります。
しかし、長期使用しますと必ず剥がれるメッキのような欠点がある上、人体への安全性は明確にされてはいません。
このような薬剤の使用は根が深く、超高級ブランドから、強い拘りを持つ革職人に至るまでもが当然の如く使用しています。
脱プラが叫ばれるこのような時世に、天然素材を掲げているはずの革製品が密かに断面処理剤、裏処理剤、接着剤、さらには糸までもが ”プラ” であることは全く知られていません。
「STONEWALL」 ではプラスチックの存在しない1800年代のアンティークミリタリーに忠実な技法を用いて仕立てています。
中でも 「STONEWALL」 製品における最大の特徴は 「Melt Finishing」 という1800年代の馬具に用いられていた古典的な技法にあります。
革の裁断面に研磨と蜜蝋の焼き込みを繰り返すことで、裁断面が堅く引き締まり、かつ滑らかに仕上がります。
私たちのウォッチストラップに、直感的な心地良さを感じて頂けるのは 「Melt Finishing」 による効果です。
また、ウォッチストラップの縁がジンワリと色濃いのも同技法による効果です。
「Melt Finishing」 によって堅く締まった裁断面は、丈夫で傷がつき難く、毛羽立ちを永続的に押さえてくれることから革とともに経年変化を愉しむ要素の一つでもあります。
「Melt Finishing」 は素晴らしい効果をもたらしてくれますが、あまりに非効率かつリスクの高い技法であることから、今や失われつつあります。
現在ではこの表情を出す為に、染料等の薬剤を用いて擬似的につくる手法や、
ごく一時的な効果に期待して、蝋やワックスを擦り込み、磨き上げる手法すら存在します。
擬似的あるいは一時的につくり出せたとしても、それらは本質として全く意味を成さないものです。
私たちの 「Melt Finishing」 は長期の使用においても失われる事はありません。
使い込むほどに、艶やかに、滑らかな質感をお愉しみ頂けます。